mainitikodoku’s diary

自分自身への覚え書きを兼ねたもの

陳腐な関係1

 とある家庭の妻A子。

 とある家庭の夫B男。

 2人の出会いは偶然であり、恋愛感情はなかった。

 意気投合した2人は体の関係を持つようになり、定期的に会うようになった。

 

A子の家庭は、うまくいっておらず、いつも寂しい気持ちを抱えていた。

B男の家庭は、夫婦仲が良く、B男はただ浮気願望を持つ男だった。

お互い家庭があり、A子もB男もセフレという割り切った体の付き合いを続けていた。

 

そのうち、外でのデートをするようになり、『好き』『愛してる』と言い合う関係になった。

でも、お互い離婚する気はなく、恋愛ゴッコをしているだけの割り切った関係には変わりなかった。

 

…………いや、そう思っていたのはB男だけだった。

A子は、B男の家族に嫉妬しつつも、プライドが高いので、それをB男に直接言うことはなかった。

B男の『簡単に離婚はできない。世間体が大事だし、子供にお父さんがこんなことをやってるとバレたくない』と何度か釘を刺されていたことも、A子がB男に本音を言わなかった理由の1つだった。

 

15年の月日が流れた。

その間、2人は毎日何度もメールのやりとりをし、毎日電話で話しもした。

電話の終わりには決まって『愛してる、おやすみ』と言い合う。

会うのは週に2回。

お酒を飲みに行ったり、誕生日をお祝いしあったり、旅行にも行った。

お互いの家族のイベントごともいろいろあった。

時には喧嘩をして、別れの危機が何度かあった。

でも、別れることなく15年。

 

A子は、お酒を飲みに出たり、ランチする場所は郊外か、完全個室じゃないとダメというB男に対し不満があった。

誕生日のプレゼントも、自分には2・3千円のものしかくれないのにB男の妻には何万ものプレゼントをしたりと、不満があった。

旅行も、最後に行ったのは四年前くらいで、県外に出たのは6年前くらい、今では旅行は難しいと言われていることに不満があった。

 

でも、当然なことである。

B男の家庭はうまくいっており、恋愛ゴッコがしたいだけで、バレると困るので、街中でデートはできない。

妻は永遠のパートナーなので感謝のプレゼント、所詮遊び相手のA子にはプレゼントにお金をかけたくない。

だんだん年もとり、出かけるのが面倒だから、いつもラブホにこもっていたい。と言うのがB男の本音。

それはA子もわかっていたが、認めたくない事実であり、プライドから、理解しているフリをしてB男に合わせていた。

 

しかし、ついに2人の関係が終わることとなる。

B男は自営業を営んでおり、県外にいる長男が帰ってきて、一緒に事業をすることになった。

『今までのようにメールはできないし、電話もできなくなる。

会えるのも、月に1回か………でも月に3回会えるか。

会うことにしてても、今後はいきなりキャンセルもあるかもしれない。

実際に息子が帰ってきてやってみなくちゃわからない。

息子にバレてまで付き合うわけにはいかない。』

と告げられた。

 

A子は仕事をしており、今までB男に会うために合わせて休みを取っていた。

それじゃあ、わざわざ休みを取っても、いきなりドタキャンされたら、私は1日どんな気持ちで過ごせばいいの?

息子にバレてまで付き合うわけにはいかないって、頭では分かってるけど、私はそれだけの価値なんだね。

もう、別れるしかない。

 

A子は、別れることを伝えた。

B男は、まだ息子が帰ってくるまで3ヶ月ある、今別れなくても。

と引き止めた。

A子は、それなら3ヶ月かけて気持ちの整理をしていこうと伝え、息子が帰るまでと決めた。

 

それから数日後。

B男が急に、やっぱり別れるって言われてるのに、このまま3ヶ月会えない。

時間の無駄だからもう来週で別れよう、明日は普通に会って、来週の月曜日を最後にしよう、と言ってきた。

A子は、いきなりで気が動転し、泣き出した。

B男は、俺は別れたくないから、会える努力をしようとしてる。

月に1回でも会えないよりは会えた方がいいと思っているのに、お前は無理だと俺を切り捨てた。俺だっていきなり別れようと言われて同じ気持ちになった。

明日会った時に返事を聞かせて、、、とA子に言った。

 

A子は揺れていた。

葛藤しながら、ついに返事をする時間が近づいた。

メールで『まだ答えが出せないでいる』とB男に言った。

B男は、じゃあ、来週の月曜日会ったあと、3週間連絡をしないから、考えて決めて。

と言った。

 

とりあえず、今日は普通に会うって言ってた日。

昨日からこんなやりとりを続けてたのに、会ってみてどうなるかはわからないけど、約束の場所に向かった。