なんでそうなった?
あなたは、学校の中でも人気者で有名人だったね。
頭が良くて、運動神経が良くて、美人で行動力があって私の自慢の友達だった。
中学の演劇部。
ほとんど部員なんかいない中で、私は1番に入部。
そのあと違うクラスのあなたがすぐ入部してきた。
めちゃくちゃ弱小な演劇部だったけど、すぐに親友になったね。
一緒に演劇について熱く語りあって、毎日のように長話してたよね。
ホント2人して演劇バカだった。
5、6人しかいなかった部員が気づけば3年間で30人くらいになってたよね。
中学を卒業しても、よくつるんで遊んでたよね。
私が結婚して子供ができた時も、気分転換にとよく連れ出してくれてた。
でも、とある日から、あなたの話す内容におかしいことが混じり始めた。
男に騙されてる。と感じた。
それから、しばらくそれが続いてだけど、少しの間疎遠になってたね。
もう1人の親友が東京から広島に帰ってきたのをきっかけに、また3人で合うようになったね。
昔の話をして笑い転げてた。
私の家の床もあなたがリフォームしてくれたね。
でも、その友人が結婚して出産したことを機に、あなたが急に私たちを避け始めた。
何度かメールしても反応なし。
私たちは、しばらくあなたが触れて欲しくないんだと、連絡するのをやめた。
毎年来ていた年賀状もピタリと来なくなった。
あれから4年の月日が経って、いきなりのメール。
嬉しかった。
電話できる?
って言われて、すぐに電話できるよって送り返したら、電話がかかってきた。
『久しぶりの電話で、凄いこと言っちゃうけど』
と言われ、嫌な予感がした。
とはいえ、すぐに本題には入らず、なんでもない私の近況話から。
一区切り話し終わったところで『ストレートに言うけど、お金を貸して欲しい』
『5年前に事業を始めたんだけど、それが失敗して大借金をしてしまった。
その時に、助けてくれた恩人のおかげで、今は月に100万稼いでるけど、借金の返済で消えていって、本当に今貧乏生活』
『でも、その助けてくれた恩人の会社が今度は傾いてて、10万でいいから貸してくれないかな。毎月一万づつ返して12万にするから』
『本当なら親に頼ってもいいところを頼れなくなった事情があって。正規のところで借りればいいと思うかもしれないけど、それも借りられなくて、本当に恥を忍んで頼んでる』
『全部で25日までに50万いるんだけど、いろんな人に声をかけててかき集めるつもりで。』
鬼気迫る勢いと涙声。
いったいどうしちゃったの?
しっかり者だったあなたが、高校もトップクラスの高校に入って、大学院まで行って、建築士の免許や宅建の資格もある。
どこでどうなったの。
親友だと思ってたけど、どういう気持ちでお金貸してくれって電話してきたの?
なんか私もパニックになった。
一気に声のトーンが下がった。
絶対おかしい話だよね。
普通に恩人の会社が傾いたとして、50万って金額ってあり得るの?
怪しいことに巻き込まれてるよね?
ごめん。
冷たいようだけど、もちろんお金は貸せないし、助けてあげれない。
個人でのお金の貸し借りは絶対やっちゃダメ。